各種がん検診と各種検査のご案内
■ 胃がん検診
胃がん検診について
日本の主要死因の1位は「悪性新生物(がん)」です。この「がん」による死亡原因の上位に「胃がん」は位置しており、罹患する人(かかる人)は、50歳代から増加します。胃がんのリスクは、ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の持続感染により高まると考えられています。ピロリ菌感染の有無を知り、感染している場合は除菌することで、胃がんのリスクを減らすことができます。検診で胃がんを早期に発見し治療することで救命率は上がり、胃がんで亡くなることを防ぐことができます。早期の胃がんは自覚症状が無いことがあります。健康だと思っていても、定期的に検診を受けることが大事です。
検査について
[胃X線検査]
・発泡剤(胃を膨らませる薬)とバリウム(造影剤)を飲み、胃の粘膜を観察する検査です。
・検査が終了するまで、ゲップを我慢していただきながら、何度も体の向きを変えたり、回ったりと、たくさん身体を動いていただきます。そうすることで、胃全体が膨らんだ状態でバリウムを胃の壁に付着することができ、胃の粘膜を良く観察できます。ご協力をお願いします。
・胃の中を空っぽにした状態で検査を行います。前日の食事は消化の良いものをなるべく早い時間に済ませてください。
・当日は、検査が終わるまで、飲食ができません。また、タバコ等もご遠慮ください。
・検査終了後は、下剤と下剤服用の注意事項が書かれた用紙をお渡ししています。注意事項をよく読み、バリウムの便が排泄されるまで、普段よりたくさん水分をとるようにしてください。
※胃X線検査を安全に受けていただくための注意事項があります。該当される項目がある場合や、当日の医師や技師が安全な検査ができないと判断した場合は、検査を中止させていただくことがあります。(受診前に「胃がん検診同意書」をご記入ください。)
[胃がんリスク層別化検査]
・血液検査によるピロリ菌の感染状態及びペプシノゲン測定(ABC分類)により将来胃がんになりやすい状態かを判定するものです。
※この検査は、胃がんになりやすい状態であるかを(胃がんのリスク)判定するもので、胃がんを発見するための検査ではありません。
■ 肺がん検診
たばこと肺がん
たばこを吸う人の肺がん死亡率は、吸わない人より4~10倍も高いといわれています。1日に吸うたばこの本数が多ければ多いほど、また、喫煙している年数が長ければ長いほど肺がんの危険度は高くなります。
肺がんの自覚症状
肺がんの主な自覚症状は、咳、痰、血痰などです。肺門部がんは自覚症状が出やすい傾向があります。血痰が出たらすぐに精密検査を受けましょう。早期発見するためには定期検診を受けることが大切です。
[胸部X線検査]
検査を受ける前の注意
衣類にボタン、金具、プラスチック、プリントのないように準備をしてください。ボタンのない、無地のシャツが望ましいです。
検査方法
「息を大きく吸って、とめてください。」 写真を撮影します。肺は袋状のものです。その袋を大きく膨らませることにより、肺の広い範囲が見えるようになります。
判定の出し方
下のように、今回のX線写真と前回・前々回のを比較して、”変化のあるとき”は精密検査を受けるよう通知が届きます。しかし、まだ病気と決まったわけではありません。病院へは出来るだけ早く行って、精密検査を受けましょう。
[喀痰細胞診検査]
喀痰検査の特徴
この検査では、胸部X線検査や症状から発見するのは困難な、肺門部や比較的太い気管支にできる早期のがんをみつけることができます。
このようながんは、特にヘビースモーカーの方に起こりやすいといわれています。
検査の内容
1.お申込|専用容器をお持ち帰りいただきます。
2.採取・提出|1日1回、3日間の早朝「たん」を採取の後、提出していただきます。(量が少ない場合は5日間でも可)
3.検査|たんの中に含まれる細胞をスライドガラスに塗り、顕微鏡で観察します。
対象となる方
・50歳以上で、喫煙指数(1日の本数×年数)600以上の方 (過去に吸っていた方も含まれます)
■ 乳がん検診
日本人女性の乳がん罹患者数はがんの中で最も多く、40歳代から多く発生しています。
乳がんは早期発見によって助かる病気です。乳がんを早期発見するためには、日頃から乳房の状態を意識する生活習慣「ブレスト・アウェアネス」を身につけて、定期的な健診を受けることが重要です。
ブレスト・アウェアネスの【4つのポイント】
1. ご自分の乳房の状態を知る
2. 乳房の変化に気をつける
3. 変化に気づいたらすぐに医師へ相談する
4. 40歳になったら2年に1回乳がん検診を受ける
早期発見のためには
・毎月1回の自己検診
・毎年1回の医療機関での検診を受け続けることが大切です。
検診で何らかの異常が指摘された場合や自覚症状がある場合は、精密医療機関を受診する必要があります。
FOTOTECA
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検診の種類
乳がん検診は次の2種類の検査方法があります。
[マンモグラフィ検査]
数ミリの手に触れないしこりを見つけ出すことができます。病・医院では、良性または悪性腫瘍の有無や浸潤度などを診断するために使われています。視触診や超音波と組み合わせることにより、しこり(腫瘍)や点のような石灰化を写しだすのでより精度の高い診断が可能になります。
マンモグラフィとは?
・マンモグラフィとは、乳房のX線写真のことです。
・マンモグラフィ検診の際は、乳房専用のX線装置で撮影します。
・早期の乳がんをはじめ、乳房にできる様々な病気を発見するために用いられています。
検査のやり方は?
乳房は、片側ずつ撮影台と圧迫板の間に挟み、できるだけ平らに圧迫して撮影します。検査時間としては、約5~10分程(個人差あり)かかりますが、圧迫している時間は数十秒です。マンモグラフィは、乳房全体を写真として観察することが出来ます。乳房は厚みに違いがあるため、圧迫してできるだけ均一に引きのばす必要があります。撮影までのごくわずかな間は、痛みをともないますが、小さな病変も見逃さない良好な画像を得ることが可能となります。また、平らにすることで、被曝する量も低減できます。マンモグラフィ検査の被曝する量はごくわずかです。例えば、1回の撮影で乳房が浴びる放射線の量は、東京からニューヨークへ飛行機で行くときに浴びる自然放射線(宇宙線)量のほぼ半分といわれています。
マンモグラフィで見つけることのできる病変
乳がん(石灰化、腫瘍)・線維腺腫・乳腺症など
[超音波検査]
超音波検査は”早期発見”に有効な検査です
・数ミリの“手に触れないしこり”を見つけ出すことができます。
・病医院では、良性または悪性腫瘍の有無などの診断に使われています。
・視触診・マンモグラフィーと組み合わせることによって、より精度の高い診断が可能になります。
超音波検査とは?
・超音波診断装置は、「エコー」という呼び方でも知られています。
・小さな探触子(プローブ)を当てるだけで、乳腺を観察することができます。
・原理は、探触子(プローブ)から超音波を発射し、臓器や腫瘍に当たって跳ね返ってきた反射の様子を画像にします。
超音波は、身体に負担が無く安全で簡単
・超音波は人体に悪影響がありません。
・繰り返し検査しても安心です。
・痛みのない検査です。
超音波で見ることのできる病変
乳がん・線維腺腫・乳腺症など
■ 子宮がん検診
子宮頸がんは、早い段階で発見できれば経過観察や一部の切除で完治することが多く、子宮を失わずにすみます。将来妊娠出産を希望されるかたは特に、定期的な受診をおすすめします。
子宮頸がんと子宮体がん
子宮がんには次の2つがあり、当センターでは子宮頸がん検診を実施しています。
[子宮頸がん]
子宮頸部(膣につながる子宮の入り口部分)にできるがんで30~40歳代に多く見られます。
[子宮体がん]
子宮体部(子宮の上部)にできるがんで50~60歳代に多く見られます。
※子宮体がん検診をご希望の場合は、お住まい市町村の担当窓口にご確認ください。
子宮頸がんの原因は?
子宮頸がんの多くはヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが関わっていて、HPVに長く感染し続けるとがんになると考えられています。また、HPVは一般に性行為を介して感染するといわれています。
検査の内容
子宮頸がん検診・子宮体がん検診ともに、がんのできやすい部位から専用のブラシなどでこすり取った細胞をスライドガラスに塗り、顕微鏡で観察します(細胞診検査)。当センターでは液状検体法を用い、高い精度の維持につとめています。
検診を受けたいときは
当センターでの子宮がん検診は、以下の健康診断のオプションとして設定しています。
・人間ドック
・生活習慣病健診
・協会けんぽによる生活習慣病予防健診
また、各市が行っている健診もあります。
対象者は居住する市町村により若干異なりますので、詳しくは各市の窓口までお問い合わせ下さい。
■ 大腸がん検診
[検査内容]
便潜血反応検査(2日法)
便に血液が混じっていないかを調べます。食事に制限がなく、負担の少ない検査方法です。
大腸がんについて
早期発見が重要です。進行すると転移や重症化する可能性が高まります。日本人の罹患率・死亡数が年々増加しています。
■ 胸部CT検診
肺がんは、早期発見、早期治療をすることで”治る”確率が高くなるといわれています。胸部CT検診は肺がんの早期発見が可能です。
X線CT検診とは
CTとはComputed Tomographyの略で、コンピュータを駆使したデータ処理と画像再構成で断層写真を得ることの出来る装置のことです。
なぜ良く見えるの?
レモンを輪切りにしたところを考えてみてください。切り口では、タネがどこにあるかよくわかります。CTでもこれと同じように体の輪切りの写真で癌などの病気がよくわかるのです。
この装置では体の輪切り写真が得られ、小さな病変でも大きさや形状がよく見えるようになり、体の内部を詳しく知ることが出来るようになります。当センターのCT装置はらせん式を採用しております。これは、デジタル画像で臓器や病巣の位置などが立体的に表現することが出来る画期的な検査方法といわれています。(下図参照)
CT検診の詳細
CT検査では、頭から足の先まで体全体を調べることが出来ます。
胸部CT検診では、肺がん、肺結核、気管支拡張症、気胸、胸部大動脈瘤、肺動静脈瘻、心臓疾患などの病変が、小さなものまで発見できます。特に腫瘍性病変などは、心臓の裏側の部分・腹部に近い横隔膜の裏側・その他の臓器などに重なり合わずに見えます。このことにより、がんの早期発見やより効果的な治療ができるようになり、治癒する確率が高くなりました。
■ 前立腺がん検診
前立腺がんは、高齢化や食生活の欧米化により、中高年の男性に急増しています。この検診では自覚症状が出る前の早期前立腺がんを発見することができます。
前立腺ってどこにあるの?
前立腺は男性特有の臓器です。クルミの実ほどの大きさで、尿道を取り囲むような形をしています。
前立腺がんになりやすい人
次のような方が高危険群とされています。
・50歳を過ぎた方
・脂肪の多い食事をよくとる方
・前立腺がんにかかった血縁者がいる方
前立腺がんの自覚症状
以下のような症状がありますが、自覚症状が出たときには、病気が進んでいることが多いです。この検診では、自覚症状が出る前の前立腺がんを発見することができます。早期発見、早期治療のためにも年一回の受診をおすすめします。
・排尿障害(尿が出にくい、勢いが弱かったり途切れる、トイレの回数が多い、排尿後もすっきりしない)
・腰痛・四肢の痛みなど
検査方法
血液中のPSA*の量を測定します。
当センターで行っているすべての健康診断と同時に受診できるので、改めて採血する必要はありません。
※PSA…Prostate Specific Antigen(プロステート スペシフィック アンチゲン):前立腺特異抗原
分子量33,000から34,000の糖タンパクでセリンプロテアーゼの一つ。精液の液状化に関係していますが、前立腺がん細胞からも産生されるために、前立腺がんの診断に使用されます。
対象となる方
50歳以上の男性です。希望される事業所並びに個人の方は、事前にご連絡をお願いいたします。
■ 心電図検査
心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉の中を微弱な電気が流れて興奮し、拍動が起こります。このような心臓の電気的な活動をみるのが心電図検査です。
所要時間は3~5分です。
心電図検査で見つけられる病気
不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大などの心臓疾患
検査方法
・胸と手首と足首を出した状態でベッドに仰臥位で寝ていただきます。
・電極(12ヶ所)を装着し、安静になった状態で約10秒間記録します。
・体に電気が流れたり、しびれたりすることはありませんので安心してください。
■ 骨粗しょう症検査
骨粗しょう症検査では次のような病気を見つけることが出来ます。骨粗しょう症・骨量減少症など。
検査方法
当センターでは、信頼性も高く、被曝線量も少ないDEXA法で測定しています。始めに、問診と身長・体重測定をします。その後、前腕(※非利き腕)の骨密度を測定します。時間は1人、約2分間で測定時間できる、簡単な検査です。測定結果は、専門医に問診内容と合わせて総合的に判定し、後日結果通知になります。
※なぜ非利き腕で測定するか?
利き腕は、日常よく使うために運動量の違いなどにより個人差が大きく、そのため全身の骨量に近い非利き腕で測定します。
骨粗しょう症とは、どんな病気ですか?
骨粗しょう症は、骨が鬆(大根などのしんに多くの細かいあなができる)のような状態になり、折れやすくなる病気です。これにより、大腿骨頸部骨折・脊椎(背骨)骨折などで、寝たきりになってしまう病気です。また、初期のうちは何の症状もありませんので、早めの診断と治療をお勧めいたします。
骨粗しょう症になりやすい原因は何ですか?
・生活習慣などによる原因
運動不足・偏食・無理なダイエット(特に思春期の骨が急激に増える頃)・日光浴不足・アルコールの飲み過ぎ・閉経による女性ホルモン減少など
・病気などによる原因
甲状腺機能亢進症・クッシング症候群・糖尿病・腎不全・高カルシウム尿症・性腺機能低下症・副甲状腺機能亢進症など
治療法はありますか?
一般療法と薬物療法があります。
・一般療法|栄養・運動・禁煙・アルコールの制限などの指導があります。
・薬物療法(薬)|カルシウム製剤・骨形成促進剤・骨破壊抑制剤などの薬剤があります。
※骨量が減少してしまった方は、ご家庭のバリアフリーなど日常転びやすい所を無くす、家族みんなの協力と本人の自覚による「骨折の予防」が大切です。
予防は、どのようなことに注意すれば良いですか?
骨粗しょう症を予防するためには、まず初めに自分の骨量を知ること!
骨量は、30歳後半まで増量しますので、それまでに出来るだけ骨量を多くし、その後骨量を減らさない努力が大切です。
そのために!
食事・運動・日光浴に注意します。
・食事|カルシウム(乳製品・大豆製品・魚介類・緑黄野菜・海草など)を多く摂る様にします。
・運動|ウォーキング・水泳など本人にあった無理のない運動を、毎日30分~1時間程度続けることが大切です。
・日光浴|日光浴の紫外線は、ビタミンDを造り、カルシウムの吸収を助けてくれます。
※ただし、日焼けするほど浴びる必要はなく、夏なら木漏れ日程度で効果があります。
■ 腹部超音波検査
腹部超音波検査とは
人間の耳には音として聞こえない3~5MHzの高周波の超音波をお腹に当て、体の中の臓器から反射された音波を画像化することでリアルタイムで臓器の状態を把握することのできる検査です。生活習慣病などによる上腹部疾患の早期発見を目的に行います。
腹部超音波検査の検査方法
・朝食を摂らずに行います。
・検査は基本仰向けで行いますが観察臓器により横を向いたり、座ったりする場合もあります。
・検査用ゼリーを腹部全体に塗りながら探触子(プローブ)を当てて観察します。
・検査中、技師より呼吸制限の声掛けがあります。観察しやすくするためですのでご協力をお願いします。
・検査時間は10~15分程度です。
腹部超音波検査でわかる主な病変
観察対象臓器|肝臓・胆のう・腎臓・膵臓・脾臓・腹部大動脈
上記に限局性病変(腫瘤・結石・ポリープなど)やびまん性疾患(脂肪肝・慢性肝炎など)、各臓器の形態異常がないか観察します。
腹部超音波検査の特徴
・痛みはなく受診者の身体的負担が少ない安全な検査です。
・ある領域に限局した腫瘤や結石などの病変を検査するには非常に有効な検査です。その反面、消化管ガスの影響や体型により描出が難しく描出範囲内での評価となる場合があります。
・毎年受診していただくことで、生活習慣病の継続的管理に大変適した検査です。
■ 肝炎ウイルス検査
当センターでは、老人保健法にもとづくB型・C型肝炎ウイルス検診を実施しています。体調は悪くないのに、いつも健診で肝機能を指摘される方、過去に輸血を経験した方にお勧めします。一度検査してはいかがですか!
B型肝炎検査
B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染による肝炎です。急性肝炎を引き起こすこともありますが、感染を受けても症状がなく気が付かないことがあります(不顕性感染)。
肝炎ウイルスが体に住み着いてしまう場合をHBVキャリアと呼びますが、健診でHBs抗原陽性と判定されて発見される事が多く見受けられます。
HBVキャリアの場合、自覚症状がなくても肝機能検査が異常を示すことがあり気が付かないうちに病気が進行することがあります。
一部には慢性肝炎がみられ、肝硬変や肝がんへと進行することがあるため、HBs抗原陽性と結果が出た場合は、医療機関を受診して頂くことをお勧めします。
C型肝炎検査
C型肝炎はC型肝炎ウイルス(HCV)の感染による肝炎で、以前は非A非B型肝炎と呼ばれていました。B型肝炎と同様に、急性肝炎を発症することもありますが、不顕性感染によりHCVキャリアになり、感染から20年後に発症することもあると言う事実が分かってきました。
検査は、HCV抗体定量検査・HCV-RNA検査を組み合わせて行い、ウイルスに、「感染している」か「感染していない」かを調べます。日常的な生活を送る限り、あらたにHCVに感染することは少ないと言うことが分かっています。従って、毎年受診する必要性はないとされていますので、一度検査してみてはいかがでしょうか。